子どもに“体幹トレーニング”はいらない?

──便利な言葉に隠れた“本当に必要な力”とは
「姿勢が崩れる」「すぐに転ぶ」「集中力が続かない」――
そんなお悩みを抱えたとき、「体幹が弱いのかも」と思う保護者の方は多いかもしれません。最近ではSNSや育児情報サイトでも、「体幹を鍛える○○トレーニング!」という言葉を頻繁に目にしますよね。
確かに、姿勢や運動能力に関して「体幹」はとても重要なキーワードのように思えます。
でも実は、その「体幹」という言葉、便利なぶんだけ誤解されやすく、時には子どもに合わないトレーニングへとつながってしまうこともあります。
本当に必要なのは“体幹トレーニング”なのでしょうか?
その前にまず、「体幹ってなに?」という基本から見直してみませんか?
体幹とは、手足を除いた胴体部分、つまり背骨・骨盤・腹部・胸部などの筋肉や骨格のことを指します。
一般的には「お腹や背中の筋肉が弱い=体幹が弱い」とイメージされがちですが、実際はもっと広く、体を支えたり動かしたりするときに働く“軸”の部分を意味しています。

特に、体幹は「静的な安定性(止まった姿勢を保つ力)」と「動的な安定性(動きの中でブレない力)」の両方に関わっています。
しかしながら、子どもに必要な「体幹の強さ」は、アスリートが行うような体幹トレーニングとは全く別物。
むしろ、筋トレのような体幹トレーニングは、発達途中の子どもには不適切な場合もあるのです。
保護者の方からよく聞かれるお悩みに、「うちの子、片足立ちができない」「すぐに転んでしまう」というものがあります。
たしかにバランス能力と体幹は関係していますが、「ふらつく=体幹が弱い」と単純に結びつけてしまうのは危険です。
バランス能力には、以下のような複雑な要素が関係しています。
固有受容感覚(自分の体の位置や動きを感じ取る力)
前庭感覚(耳の奥の器官で、回転や傾きを感知)
視覚(目からの情報で姿勢を補正)
脳の統合力(タイミングよく筋肉を動かす)
これらがスムーズに働いてこそ、子どもはバランスよく動けるようになるのです。

つまり、いくらお腹や背中の筋肉を鍛えても、それだけではバランスは良くなりません。
“使える体”を育てるには、神経や感覚と連携した全身の動きの経験が欠かせないのです。
実際、子どもにとって本当に大切なのは、筋力の強さではなく、「必要なときに必要な力を出せる柔軟なからだ」。
そのためには、同じ姿勢でじっと力を入れる“体幹トレーニング”ではなく、
よじ登る
転がる
跳ぶ
不安定な場所を歩く
前後左右に揺れる
…といったダイナミックで多様な動きがとても大切です。

これは「神経-筋制御(neuromuscular control)」という考え方にも通じます。
脳と体をつなぐ神経ネットワークが活性化するのは、“失敗を含むリアルな運動体験”によってこそ起きるのです。
発達神経学の研究では、就学前の子どもにおけるバランス能力の発達には「感覚統合」と「体験的運動遊び」が極めて重要であり、静的な筋トレは有意な効果がないことが報告されています(Sweeny et al., 2019, Developmental Medicine & Child Neurology)。
最近では、体幹トレーニング専門の習い事やスタジオも増えています。
もちろん、子ども向けに工夫されている場合もありますが、「静的な動き中心」「反復の多い筋トレ形式」のものは、発達段階的にあまり効果が期待できないどころか、からだの動かし方に“クセ”をつけてしまうことも。
本来、子どもの動きは自由で、バラバラで、失敗があって当たり前です。
「きれいな動き」や「筋力強化」を優先してしまうと、動きのバリエーションが減り、応用力のあるからだづくりからは遠ざかってしまいます。

子どもの体幹を強くしようと、プランクやバランスボール、腹筋運動などを取り入れる家庭やスクールも増えています。
ですが、実は体幹トレーニングが本格的に“効果を発揮する”のは、骨格や筋肉がある程度完成に近づく思春期以降(高生年代)といわれています。
また、急激な身長の伸びが見られるプレ思春期(小学校高学年〜中学生)に無理なトレーニングを行うと、
身体バランスを崩したり、姿勢の歪みを助長してしまう可能性もあると警告されています。
その一方で、高校生年代になると身体が成人に近づき、骨格と筋肉のバランスも安定してくるため、
ようやく「正しく力を入れて支える」「同じ姿勢を保つ」ための筋力トレーニングとしての体幹トレーニングが有効になってくるのです。

◎ 椅子に座るときは「足の裏を床に」
→ 足がぶらぶらした状態では、姿勢を維持する筋肉が働きづらくなります。
◎ 食事中・遊び中に“頬杖”や“寝転がり姿勢”を減らす
→ 無意識にからだを支える力が弱まり、姿勢保持力の発達を妨げます。
◎ 公園で丸太の上を歩く・坂道を登る・不安定な遊具で遊ぶ
→ バランス・重心移動・支持力などを自然に育みます。
LinKeeeでは、“体幹”だけでなく“全身を使って動く力”を育てるプログラムを実施しています。
転がる・跳ぶ・支える・くぐる・止まる…といった遊びを通して、神経系の発達を促しながら、自然とバランス感覚や姿勢制御力が高まっていく構成です。

また、運動能力の偏りや発達の遅れに気づきやすくするため、年に2回「スポーツ能力測定」を実施し、保護者の方へ客観的なフィードバックも行っています。
空調完備の屋内施設で、暑さが厳しい季節でも安心。
「最近外で遊べていない」「動きが偏っているかも」と感じる方にこそ、ぜひ体験いただきたい内容です。
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